杉本さん家へ水を送りました

写真/文・鎌田浩宮

2019年、台風19号が訪れる前の7月22日に相馬を訪れた時の写真です

 

 

2019年、
台風19号で

相馬市が断水。

 

この記事では、どの被災地にも活用できるものではないのですが、ケースバイケースながら、被災地支援をできるかも?なお話です。

2019年10月12日土曜、台風19号が主に東日本を直撃し、全国各地が被災しました。
映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」撮影でお世話になった福島県相馬市も、被害を受けました。
市の真ん中を通る宇多川が氾濫し、広い範囲で住宅や商店などに浸水。
真野ダムからの給水管が破損し、相馬市と隣接する南相馬市鹿島区、新地町の全域で断水となりました。

福島県では、阿武隈川が氾濫。
本宮市や郡山市の被害が当初大きく取り上げられていましたが、相馬及びほかの各地も大変だったんです。
東日本大震災と原発事故で、今なお大変なのに。

 

 

 

どうやって
水を運ぶか

 

はじめは、車に水を積んで相馬へ行き、ボランティアもできないかな?と考えていました。
しかし、車を運転してくれる人が見つからず、このアイデアはボツ。
(僕は免許もなく車も持っておらず)

では取り敢えず電車で相馬へ…とも思ったんですが、福島駅から相馬へ向かうバスが、倒木で道路が不通になった時期がありまして。また、台風一過の後も雨の日が多く、行っても雨じゃボランティアできないなあと、地団駄を踏んでおりました。

相馬市の水道を管理している「相馬地方広域水道事業団」に問い合わせると、杉ちゃんの家がある程田₍ほどた₎の方の通水はしばらくかかりそうとのことでした。問い合わせが殺到し職員の皆さんもお疲れのことと思い、「心よりお見舞い申し上げます。お忙しいところ申し訳ありませんでした。」とお伝えしました。

 

 

 

給水車は出ているけれど
平日働く人やお年寄りには
厳しい点もあるのかな…

 

映画の撮影でお世話になった杉本さんの家は、若干高台にある程田にあるので、浸水は免れたんですが、断水となりました。車で20分ほど北上すると、新地町に湧き水があり、20リットル入りポリタンクを持って、汲みに行っているが、同じような人で混み合っているとの事。

ただ、杉ちゃんのお父さんは70代後半、遠いし重いし疲れるよなあ。杉ちゃん自身は平日仕事で汲みに行けないし。給水車は市内で発動しているんだけど、混み合っていて1時間以上並ぶんですって。

でもって、水20リットルというと、飲み水・調理用に使って、余った分をトイレや歯磨きなどに使う分で終わってしまうんです。お風呂には入れません。調べると、一般的な家庭の浴槽に使う水量は、200リットル前後のようです。

市内及び周辺市町で、地下水₍井戸水₎をくみ上げるタイプの公衆浴場やホテル・ビジネスホテルなどが開業し提供しているのですが、杉ちゃんが行った浴場はかなり混み合っていたそうです。少しして自衛隊が浴場を設置、加えて自衛隊の船も到着し浴場提供と給水を始めました。

次第に秋深くなり、日々の気温が下がっていきました。晴れ間はなく雨の日が多く、復興は遅れる。東京にいても気が滅入ってきました。
これは僕の勝手な印象なのですが、銭湯に慣れている東京の僕に比べ、相馬の方々、特にご高齢の方は温泉ならまだしも、混みあった公衆浴場に慣れていらっしゃらない、車でわざわざ行くのなら風呂は我慢してしまおう…といった具合なのかも知れません。

 

 

 

あちこちの通販サイトを
調べてみる

 

そんな時友人が、「取り敢えず水だけ宅配便で送ってみたら?」とアドバイスしてくれたんです。えっ?近所の西友で購入し、それをヤマト運輸やら佐川急便やら郵便局へ持って行くの?それだけでも車が必要になるべなあ…。

しかし頭の悪い僕でも、そんなに待たずアイデアが浮かんできました。アマゾンや楽天などで売っている水を、相馬へ送れないかなあ?

しかし、ほとんどの通販サイトが、2リットル6本入りであれば、発送は2箱まで!だったのです。ほかにも、送料が高すぎる、到着までにかなり時間がかかるといったものばかり。₍この記事の巻末に、その辺りのリンクを貼り付けてあります)

でもあきらめず色々な通販サイトを探してみると、ASKULが運営している「LOHACO」というサイトに行きつきました。ASKULと言えば、小さな企業へもすぐに文房具などを配達する会社だったっけ。

お風呂などの生活用水にも使えて、飲み水としてもオッケーで、安い商品、ないかなあ。お、これはかなり安い。スーパー並み。

LOHACO Water 2.0L 1箱(5本入)
¥398 (税込)

1本あたり ¥79.6 (税込)

早速、以下3つの条件に照らし合わせてみます。

●大量発送できる

●早く着く

●送料が安い

サイトの買い物カゴに入れてみると、大丈夫だ!沢山の箱数でも注文できます。

しかし送料は無料ではなく、実際には「飲料配送手数料」がかかる仕組みになっていました。な~んだ。でも、18㎏までは無料、そこからは10㎏ごとに税込で330円です。他社サイトより安いかな。

 

2019年7月22日に相馬を訪れた時の写真です。

 

 

注文した翌々日に
180リットルの水、到着

 

到着予定日は、注文日10月15日火曜日から翌々日の日付、10月17日木曜日と表示されていました。早い!…しかし台風で不通になっている道路もあるし、本当に大丈夫なのかしら?確認すべく、LOHACOお客様サービスデスクの無料電話で問い合わせました。

係員の方は慎重に調べて下さり、長野県・宮城県であれば配達困難な地域があるものの、相馬市については通常通り配達しているとおっしゃっていただけました。ちなみにこのエリアは、ヤマト運輸か日本郵便で発送するとの事。

よし、ここに決めた。
2リットル入り5本1箱を18箱、手続きを完了しました。合計180リットルです。₍もちろん、僕はLOHACOの回し者ではありませんし、どこかからお金をもらってこの記事を書いているわけでもありません₎

無事、予定通り10月17日木曜夜6時21分に、受け取り完了。

杉本家のある程田では、台風19号が通過した10月12日から9日後、10月20日日曜に通水したそうです。この時点では生活用水のみの利用でしたが、翌日21日には飲み水として使えるようになりました。

その後10月25日金曜に、台風21号の影響で再び東日本各地が大雨になり、相馬市でも遂にお亡くなりになった方がいらっしゃいました。大雨の中息子さんを迎えに車で出た60代の女性が、車ごと流されてしまったのです。息子さんも行方不明のままです。再び相馬駅周辺が冠水し、商店の商品がまたしても泥水を浴び、売り物にならなくなったところもありました。

 

 

 

もっといい方法、
ぜしぜし募集します

 

僕の行動は、全く褒められるもんじゃないと思っています。怠け者ですし、楽してばかりです。
できれば現地に行ってボランティアを行うか、観光で飲食宿泊することで現地にお金を落とすことで復興支援なんです。
また、相馬市でも当初は支援物資の提供を募っていました。₍現在では寄付金・義援金のみを受け付けています。皆さんもよろしくお願いします!)

今回は、とにかく初動で何ができるか。お世話になった杉ちゃん一家に何ができるか、というところで動いたんではあるが、もっといい方法があるよ!ということであれば、ぜひこちらの「contact」まで投書して下さい。皆で情報を共有して、足を引っ張りあわず、庶民同士・お隣さん同士が助け合う世の中にしていきましょうぞ。


2019.10.30