退学を脅された東洋大学学生を応援するのだ 3

文・名無シー/鎌田浩宮
編集・鎌田浩宮

 

 

2019年1月21日。
東洋大学で
学生が立て看板を掲げ
ビラを配っただけで
大学職員から
退学を勧告された。

 

 

 

 

エプスタインズにて
度々登場する
映画評論家・名無シー。
エプスタインズ・鎌田浩宮は
東洋大学出身。

 

 

 

 

タテカンを掲げた「彼」を応援すべく
語り始める第3回。

 

 

 

竹中氏批判の東洋大学生語る「組織の問題を指摘」

東洋大学が、元総務大臣でグローバル・イノベーション学科教授の竹中平蔵氏(67)を批判する立て看板を21日に校内に立て、ビラを配った文学部哲学科4年の船橋秀人さん(23)に「退学」を示唆するような発言をしていたことが24日、分かった。

船橋さんは授業前の21日午前9時に「竹中平蔵による授業反対!」と書いた立て看板を校内に立て、ビラを配るなどしたが、10分後に大学の関係者に撤去され、学生課の男性職員4、5人に2時間半にわたって事情聴取された。その中で、男性職員から「性行不良で改善の見込みがないと認められる者」「本学の秩序を乱し、その他学生に反した者」など、退学に関して規定された学則第57条を示しながら「表現の自由には責任が伴う。何らかの処分で責任を取ってもらう」などと追及されたという。

船橋さんは今回の行動を起こした要因として、国際化を進め14年に文部科学省からスーパーグローバル大学に認定され、竹中氏が教授に就任した16年以降、さらに国際化を加速した大学側が、1887年(明20)に「哲学館」として開学した際から専門分野にしてきた、哲学科を統合再編するなど縮小に向かったことへの疑問があったと語った。

以下はこちらをクリックして読み下さい。

2019年1月25日 日刊スポーツより抜粋

 

 

彼を面白がる土壌、を作るのだ

 

名無
今回気になったのは、学生課ですね。何か体格のいい人達が立て看撤去してますが、あの感じが、以前と大分違う感じしますね。

 

 

名無
これ、船橋君のビラです。学内では10枚くらいばら撒いたところで御用となったそうですが、逆にウェブ上で皆が読むと言う、ビラに関しては学生課、結果的にナイスサポート。世代も地域も越えて皆が読む。

鎌田
アクティビストは、孤独を恐れてはいけない。船橋君も、和夫ちゃんもそうだったわけです。蛇足ですが、僕も職場の方針に否を突きつける時、そのたいていは僕1人です。50歳にもなれば、孤独を楽しめるようにもなっています。

僕のように愚かな行動しかしないのであれば、むしろ考え続けた結果何もしない方がいい。それも、その通りだと思います。

では僕は何が言いたかったのかなあ?と振り返ると、冒頭に書いた、この手の面倒臭い奴を面白がる土壌の話なんです。

哲学科の同級生は、東洋大の学生は、僕の職場の同僚は、「戦時中となった今何をするか?」ではなく、「戦争となってしまう前に、日々何をするか?」とでも言いましょうか…。

名無
今いる職場は、ヒッピー感ゼロですね。気にしませんが職場では孤独でしょう。哲科の世界人口に占める割合に比例する程度に独りです。

大抵の職場でおれは場違いでしたが、幾つかの職場の幾人かの人々は自由な気風を愛し、今でも集まって飲んだりしていますね。

海外の本場で修行してきた仕立屋とか、
第三世界をひたすら歩き回ったパッカーとか、
高校時代に家族を捨てて東京に出奔し、それ以来隠れて覗き見に行く以外家族と触れあえなくなったサブカルオヤジとか、
霞が関に直接自作の機械を持ち込んで製造業の認可を取り付けようとしたメカキチガイとか、
皆、普通の人よりはやっぱり見識が広め(常識の逸脱)の自由な人達です。

おれも含めて世が世なら皆憲兵に撲殺されそうなマイノリティですね。
酒場で、世界の悪について語るのがやっとの非力な愛すべき人達です。

 

 

左右から羊を操るな

 

名無
恐らく、面倒くさいやつを黙らせたい人間は必ずしも大勢ではなく、自分の職場の羊たちも、有事にも羊でいるはずです。問題は、憲兵気質の人達を旨く利用するため活躍の場を保障する政権が生まれる時が一番恐いんだと思います。

誰かを揶揄するとき、止めとけよと言わないまでも、たいていの人はちょっと距離を置きそうなそう言う揶揄の空気を率先して楽しんでいるタイプの人達、これが、政権の求める有用なハサミなんでしょう。「使いよう」がある。

船橋君へのツィートは応援や共感が多々見受けられ、ウェブでは、彼は言うべき事をよくぞ言ってくれたといういい空気ありますね。ま、その内輩みたいなのも大勢絡んでくるでしょうけれど。その輩たちが、政権のメガネに止まるんでしょうね。

さて、やっぱり選挙は大きい。
日常的には、発言は大きいでしょうね。言えると言うことの証明が何時もそこに目につくようにあることと、内容が目につくようにあること。ネトウヨのカズの攻勢は、多分にそこを狙った組織的なものも多々あるはずです。
エプスタはそう言う意味では重要でしょう。
チョムスキーの言うミニコミも数を増やす必要はあるはずです。

鎌田
そうです。「羊」、です。
僕がもやもやとしつつ懸念していたのは、名無シーさんが詳細にとても手寧に説明してくれた哲学科の気質…ひどくかいつまんで言えば「安易に行動するよりも考え続けた結果行動を起こさない」人々も、その羊にくくられてしまわないか…という点です。

名無
社会性に与える影響では、内省の人達は確かに羊ですね。
であれば、闘いは、右寄り政権と輩vs.明確な民主主義者で、羊はその外にいますが、輩どもが羊を脅迫するわけです。対抗して左派が羊を脅迫したのがセンデロルミノソとかですが、あれは本末転倒で、大集団である羊をどうやって脅迫の埒から外に出すかが、民主主義者の闘いどころなはずですね。

勿論、そうなってからでは遅いので、日々羊にも跳躍力を付けてもらわねばなりませんね。
エプスタの複数化かなあ。チョムスキー的に。酒場で陰謀論を説くのもその一環かも知れません。

そして、なにより、船橋君のような皆に向けた行動。
船橋君、頑張って!

鎌田
共に闘います。

 


2019.02.08