キャマダ、訊かれてもないのに自分のヴォーカルを語る

文・鎌田浩宮

2017年7月29日土曜日
下北沢モナレコードにて
ライヴ「越静寂」を催す
ワタブーなソウルバンド
舞天(ブーテン)。

ライヴを目前に控え
ヴォーカル・鎌田浩宮に
今の心境を聞いた。

なんちゅーと格好ええのだが
インタビュアーなどもおらぬゆえ
キャマダが自分で自分の事を書きます。

 

 

中学2年の頃に、同級生とコピーバンドを組んだ。
アメリカ帰りの岩ちゃんが既に作曲作詞できたので、3年生でオリジナル曲を演奏していた。
その頃からバンド小僧になったんだが、当時の担当はキーボードだった。
ヴォーカルになんぞ全く興味なし。
だって俺は、テクノポップだったのだ。
もみあげを剃り、汗はかかない、感情を排除し、ボソボソと喋る。
YMOにあこがれ、YMOになりたい、YMOになれたら死んでもいい。
シンセサイザーで音色を作っている時が幸せであり、歌を歌うだなんてテクノの精神から外れていた。
だが、高校3年の時のライヴで、アンコールの1曲のみ、臨時でヴォーカルを担当することになる。
ビートルズの「バースデイ」を、ブルースブラザースのように踊りながらシャウトしたら、それまでお通夜のようにしらけきっていた客席が、嘘のように沸いた。
それで初めて、歌を歌うという事に目覚めた。

しかし、それからステージで歌うごとに現・舞天ドラムス担当の我が弟・Pacoから
「声質がヴォーカル向きじゃない。布袋寅泰みたい」
となじられた。
自覚していた。
確かに、俺の声は倍音に乏しい。
ヴォーカル向きの声質じゃあねえよなあ。
こもった声は、音痴が倍増して聴こえる。

ジェームス・ブラウンのような歌い方を、してみたかった。
2時間シャウトし続けても潰れない、強靭な喉。
自分の声が嫌いなので、より一層シャウトして歌った。
だが、それはシャウトではなく、ただがなっているだけだった。
声量の大きさだけしか褒められないようになっていった。

黄色人種の声帯は、黒人よりも白人に近いんじゃないかな。
だから、シャウトが下手くそだと、ソウルというよりかはハードロックやへヴィメタのようになる。
あんなにだせえものは、ない。
まずはそこから特訓だった。
ただ、その点は割と早く習得できた、というよりかは、俺の声帯が黒人に近かったのかも知れない。

とにかく、練習した。
NHK教育テレビで「ゴスペル・歌い方教室」をやっていた。
必死になって学んだ。
鎌田、あおむけに寝て、小さい声で歌ってみろ、音痴が治るっていうぞ。
当時の相棒・ギター担当加藤久直も、色々なところから練習方法を仕入れてくれた。
久直、今でも心から感謝しているぞ。

歌詞を、人に伝える。
しっかりと、分かり易く、伝える。
大好きなアッコちゃんこと矢野顕子は、お喋りするように歌う。
彼女の歌には、説得力があるじゃないか。
俺も摂りいれてみた。
あがた森魚の歌い方も、参考にした。
喋るように歌うと、喜怒哀楽を表現しやすくなる事に気づく。

忌野清志郎は、どんなに音響の悪いハコでも歌詞が聴き取れる、全くもってあり得ない、稀有の存在だ。
売れない頃は鏡を見て、口の開け方をチェックしながらヴォーカルの練習をしたと聞いた。
歌詞を受け手にしっかりと伝えるべく、もちろん、それも摂りいれた。
キヨシロー、チャボ、最も敬愛するヴォーカリスト達だ。

自宅での自主練習では、楽器の伴奏なしで歌い、それを録音して、聴き直す。
ビブラートの具合や、どこで音程がフラットになり、どの音域で裏声が汚くなるなどを確認し、もう1度歌い録音する。
それを繰り返す。
アーティストや職人というよりかは、アスリートの心持ちだ。
練習は、その人を裏切らない。
こうして、ようやくフツーのヴォーカリストと同じレヴェルにはなれたかな、と思えるようになったのがタカツカアキオとの運命的な出逢いからしばらく経ち2004年、トランキル・オーヴァーが4人組のバンド編成になり、がしがしとライヴを催すようになった辺りだ。

自分のアカペラを録音するやり方、そんな練習、2008年舞天結成時の40歳くらいまで行っていた。
今でも、ライヴが近くなると、昼間は仕事、帰宅して30分から1時間自宅で練習する。
モナーク三軒茶屋の皆はいい迷惑だろう。
普段でさえ自慢のオーディオで、CDやらラジオやらを大音量で聴きまくっておる。

気が付くと、俺のようなスタイルのヴォーカリストを見かけなくなった。
若手のバンドは、太い声を好まないようだ。
細野晴臣さんのように、心落ちつく低音の持ち主も見かけない。
俺の苗字はカマダだから、よく子供の頃「オカマダ」と言われからかわれたが、最近のヴォーカル、線の細いおかまのような声質、多いよなあ。
俺なんぞ、時代遅れってやつなのだろう。

まあ、いいさ。
真似できるもんなら、やってみな。

 

 

 

 

東京の音楽シーンを牽引せず、足を引っ張り続けるバンド、
舞天(ブーテン)、ライヴ、やります。

 

 

2017年7月29日(土)
下北沢 モナ・レコードにて
open 18:00 / start 18:30
前売¥2000 / 当日¥2300
当日は、先着20名に演奏全曲の歌詞カードを差し上げます。
前売券はモナレコード店頭・HP・電話にて発売中です。
住所・地図・電話番号は下記をご覧下さい。
HPはこちらよりお入り下さい。

 

 

mona records
東京都世田谷区北沢2-13-5 3F
TEL: 03-5787-3326
info@mona-records.com

http://www.mona-records.com/live/index.php

駅から1本道で、来られるんですが。
モナレコードまで、道に迷う人、結構、います。
なので、写真付きで分かり易く、道順、説明します。
ここを、覗いてみてね。

 

 

 


2017.07.22