第11話「HOOTERSへ行くの巻」

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「ねー、知ってる?ふーたーず」

土曜日の昼過ぎ、

寝起きにシュークリームを頬張りながら話しかけるカノジョ。

「とうでもいいけどさ、起き抜けによくそんなもん喰えるよな?」

どうせ、いつもの別腹とかワケわかんない答えしか返ってこないだろうけど…

「で、なに?フーターズ?」

「そっ」

「知ってるけど、それがどうした?」

「昨日行ってきた、ドーハンで」

ああ同伴ね、どうはん。ドーハンって伸ばすなよな!

F1レーサーのマイケルドーハンじゃあるまいし。

「んで、それがどうしたって?」

「時給いくらかな〜、って思って」

「それって、働こうとしてる?」

「いや別に〜」

「じゃ、時給きいてどうすんの?」

「なんとなく、いくらかなあ〜って思っただけ」

・・・。

いつものことだけど、これが世に言う“たあいない会話”ってやつだろう。

結局のところ、フーターズに行くのに

どこぞのオッサンがボクのカノジョを出しに使ったってとこだろう。

これもまた“たあいのない”ことだけどね。

「そろそろ、クリスマスだよね!」

「そろそろって、まだ1ヶ月も先のことだろ?」

「赤プリのね、壁がクリスマスになってたから」

相変わらず、日本語の使い方が間違ってるコイツ。

壁がクリスマスではおかしいだろ?

「ああ、イルミネーションねクリスマスツリーの」

「そうそう、それそれ」

そうか、クリスマスか〜、いやな日だな。

特にクリスマスイブ!

なぜって?

そりゃあ、2人でイブは過ごせないからでしょ。

ボクのカノジョはキャバクラ嬢。

クリスマスイブはカノジョの業界では繁忙期、稼ぎ時ってワケでして…

毎年ボクはクリスと2人きり…

真っ赤なお鼻のトナカイさんのかわりに、

真っ赤な顔した酔っぱらいのカノジョがサンタがわりのクリスマス。

いつの日か、赤プリのラウンジで、

2人でシャンパンで乾杯してみたいもんだ。

そういや、赤プリって来年閉館になるって聞いた覚えが…

まっ、いいか。イブはそれこそフーターズにでも行ってみようかな…

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2010.11.18