第5便「SOSな落書き。」

先日、東京1週間という情報誌が、休刊(終刊?廃刊?)しちゃいまして。
次々と雑誌がなくなっていく今日この頃ですが、ライバル誌のトーキョーウォーカーよりも企画が面白くて、よく読んでたんですよ。

私もその片棒を担いでいるのだからなんとも言えないんですが、情報は全てタダでインターネットから収集できる現在、紙媒体のメディアは瀕死の状態だと言われてます。

情報だけじゃなくって、居酒屋に行けば焼酎や煙草がタダだの、牛丼が250円vs270円だの、給食費を払わない親だの、なんだか世間はタダないし激安の物に溢れまくっていますが、実際には、物を作るのにはそれなりに金がかかっているわけですよ、当ったりめーめー山羊メーメーの事なんですが。

実は、このエプスタだって、本当は有料サイトにしたいくらいです。だって既に300万円くらいの費用がかかってるはずのところを、しかしネットは無料購読が当然のメディアでやんすので、スタッフが無給で働きなんとか辻褄合わせしている次第でございやして。

世界的な大不況になって早数年、デフレスパイラルがひどーくなって、体力のある企業が無料ないし激安価格でその商品や情報を提供しだすと、体力のない企業やお店は、それがどんなに良質な商品や情報であっても、市場から撤退せざるを得なくなる、首を吊ってこの世からサヨナラするしかなくなっちまう。

味のあるイカシた雑誌が、女将やご主人が気さくな居心地のいい個人経営の居酒屋が、値段ではなく味と安全な原材料が重要だったはずの丼飯屋が、心のオアシスとなり子供のためにメニューを腐心して汗をかいて作ってくれる給食のおばさんが、笑顔を失ってどこかへ消えてっちまう、そして1番の悲劇は、その人はもうここには戻って来ない事なんです。
それが回りまわって、東京1週間が売れなくなって休刊する。

じゃあ、270円を250円にしてもらわないと死んじまうくらい、私達は生活に困っているのかえ?
・・・違いますよね。ほんの少し高くても、美味しくて居心地のいい、1日の疲れを慰めてくれるお店でお酒と食事を楽しんでいるし、味気ないサーヴィスしかしてくれない、安いだけのチェーン店にいると、どーせ機械で作った料理なんでしょと息が詰まりそうになって出て行ってしまう。

私達は、その人が苦労して作った美味しいお酒やご飯、素敵な雑誌や本をいただくのなら、それをタダでもらおうと思うほど浅ましくないのよ。
「どうもありがとさんよぉ」
と、金銭による「お礼」を払って、その対価を得て、出版社や居酒屋や給食のおばさんは、生活を成り立たせていくんだという事を知っているからねえ。

だから私は、焼酎0円のお店には行かないと思うの。そういうお店が幅を利かすことによって、気持ちのいい女将の店が、また1軒なくなっていく気がするのよお。

子供には視力が悪くなるPCではなく、紙の絵本を読み聞かせ、そこに折り目をつけたり、ちぎったり、絵を描き足したりして、やがて本や雑誌に親しんでいく。
インターネットは、電源が必要だし、そこに折り目をつけ、必要な部分だけちぎったり、落書きなんぞもできない。紙って、実はすごくハイパーなメディアなんですよ。

・・・あ、やっと「落書き」って言葉に辿り着いた。
さ、よーやくトイレへ行こう!

さて今回は、エプスタにて連載小説「Cao no Café」の著者である竹原トモヒロ氏が、有り難い事に取材をしてきてくれたので、それを元に報告しましょ。

前回が渋谷なら、今回もオシャレが止まらない。
麻布十番に程近い、東京法務局港出張所。

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麻布十番なんて、もー、いまだにテンション上がるもの。
木更津キャッツアイのぶっさんが東京にビビってたよーに、私、麻布にビビってます。
つい最近まで電車が通ってなかったくらいヘンピなくせして、ハイソなイメージは抜群。
「私、今麻布十番でご飯食べてるの」
と言われたら、ある種銀座以上の破壊力があるし
「私、今麻布十番で糞してるの」
と言われても、格好いいなこの野郎ぉと羨望スカイツリーが成層圏突き抜けそうである。

麻布十番で、糞。

糞なんてラベンダーの香りすんだろうなあ、流れる水はバドワイザーだ、トイレットペーパーなぞちぎってもちぎっても三角形に折り曲がってて「お客様ようこそ」体制バッチシじゃないだろーか。

では、竹原さんからの写真を見てみよう。

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和式??
ラベンダーっぽくないな・・・。ま、確かに下町でもある街ゆえ、か。
そして、落書き、あったんだそーである。
私なんか、10軒くらい回ってよーやくめっけたのに、竹原氏、すごい。

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何?SOS?「ウゲッ アッア ダ ダメ」と何とか読み取れる。エロ系落書きにしては芸がないが、SOSとゆー言葉が引っかかる。エロではないのではないか?

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そーでしたか、そーゆーことでしたか。
紙、ないんですってよぉ困ってるそーですよぉ。こっちはてっきり麻布十番、流水バドワイザーレベルのサーヴィスが当たり前だと思ってたもんだから、驚き桃の木プラタナスの木よぉ。
・・・って人間、本当に困っている時に、落書きで助けを求めるかえ?
誰もが経験のある「紙がない!」スパイラルであるが、落書きして窮状は乗り越えられんぞ。
デフレスパイラルに惑わされないジンセイとともに、日本で指折りのイカシた街でも、紙がない事態に遭遇する事を想定しておかねば、このキビシイ世界では生きてかれない!

続く・・・

2010.09.24