1954年3月8日(月) これが自由というものか

文・鎌田浩宮

除染、
しない
自由。

これは、
自由と、
いうもの
か。

 

先日の
映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」
特別先行無料上映会のために
約10日ほど東北に滞在して
中身の濃い毎日だったんだども。

福島は相馬、
映画の主役・杉本紀男(72)さん家に
居候させてもらい、
畑仕事を手伝わせてもらった。

畑仕事は、久しぶり。
小学校の芋掘り以来?
いや、
あの予備校の河合塾が
不登校児のために
行なっていたスクールが
子供達のために、
畑を所有してたのね、
そこで20代の時に、
ほんのちびっとだけお
手伝いさせてもらって以来、
だなや。

僕に限らず、
都会に住んでるもんは
そんなもんだ。

色んな苗を植えるために、
手で押す小型の耕耘機で
土を慣らすのね。
生まれて初めての耕耘機、
そして、くわ。

2014年、
福島にも、
春、来た。

天気が、いい。
空気中にはそれなりの
放射能がある相馬だけんじょ、
汗が、キモちE。
老いた紀男さんにとっても数少ない
キモちE汗をかくひと時だ。

だって最近の紀男さん、
家にいてばっかなんだもん。
家でテレビばっか。
しかもNHKのニュースと、
民放のBSの2時間サスペンスの再放送、
それしか観ないんだもん。
再放送の小林捻持、
やたら若いんだもん。

紀男さんにとっては
あくまでも趣味の家庭菜園だけど、
ここで1年中色んなもんが採れるから
金を払って野菜を買う気になれない。

除染をしてない畑だから
放射線量が気になって
紀男さんの娘でさえ
ここで採れた野菜は、食べないだ。

ただ、
ほんの時々、
採れたもんを市役所に持ってって
線量を計るんだども
いずれも10ベクレル以下、
いわゆる不検知という
結果が出たのもあり
僕も、
内心は怖いが
食べるようになった。

だって、
採れたて、旨いんだもの。
何よりも、勝る。

紀男さんは、
自分ちの野菜を食い、
相馬で採れた米を食い、
相馬の魚が大好きだ。

地の物が1番うめえんだ、
という思いの中には、
何代も前から住んでいた相馬への
郷土愛ってやつも
少しあるのかもしれない。

72歳という紀男さんの年齢なら
体内被ばくで病気になっても
進行は早くないだろう。

娘のために畑を除染するのにも
金がかかる。
除染してから
養分のある土に戻すのにも
金がかかる。
苦労もかかる。

それよりかは、
食いたいもんを食って
呑みたいもんを呑んで、
楽しく死にてえ、ってなもんだ。

これが自由というものだ。
これが自由というものか。

1954年にエノケンが、
2011年の事を、既に歌っていた。

作詞・作曲 : 三木 鶏郎 / 歌 : 榎本 健一

知らない間に実験で   知らない間にモルモット

知らない間にピカドンで 知らない間に水爆病

これは呆れた驚いた   何が何だかわからない

これが平和というものか あちら任せの平和論

知らない間に値上げして 知らない間にMSA

知らない間に教育法   知らない間に機密法

これは呆れた驚いた   何が何だかわからない

これが自由というものか あなた任せの自由論

知らない間に金上げて  知らない間に金取って

知らない間に税金で   知らない間に自衛隊

これは呆れた驚いた   何が何だかわからない

これが政治というものか おかみ任せの政治論


2014.04.25